お知らせ

2026.09.04(金)

地球観測に関する科学アドバイザリ委員会を開催
地球観測衛星の役割を議論

2026年6月23日、東京事務所にて本年度第1回の「地球観測に関する科学アドバイザリ委員会」(以下、本委員会)が開催されました。本委員会は、JAXA第一宇宙技術部門長の諮問委員会であり、衛星地球観測や気候変動課題に学術やビジネス知見をもつ外部有識者が委員として参加しました。委員からはJAXAの地球観測衛星が今後どのような役割を果たしていくべきか、専門的な立場から様々な助言が寄せられ、活発な議論が行われました。 本委員会には、東京大学名誉教授であり日本学術会議地球惑星科学委員会委員長をつとめる佐竹健治氏、東京大学教授の沖大幹氏、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の河宮未知生氏、一般社団法人SPACETIDE理事兼CSOの佐藤将史氏、慶應義塾大学大学院教授の白坂成功氏、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学の高橋暢宏氏、国立環境研究所の肱岡靖明氏に委員としてご参画いただいています。

(後列左から)仁尾 友美 地球観測統括、瀧口 太 第一宇宙技術部門長、落合 治 地球観測センター長、松尾 尚子 地球観測プログラム戦略室長
(前列左から)国立環境研究所 肱岡 靖明 氏、名古屋大学 髙橋 暢宏 氏、海洋研究開発機構 河宮 未知生 氏、東京大学 佐竹 健治 氏、
東京大学 沖 大幹 氏、SPACETIDE 佐藤 将史 氏

〇JAXAにおける地球観測とその変化
JAXAは約30年間にわたり、日本の地球観測衛星に搭載するセンサの開発や能力向上を通じて観測対象の拡大と新たな知見の獲得を行ってきました。例えば衛星搭載の雲や降水を観測するレーダの開発が一例として挙げられ、3世代のレーダ開発を通じて観測能力を向上させてきました。1997年に打ち上げた「熱帯降雨観測衛星(TRMM)」では、世界初の衛星搭載降水レーダにより、熱帯域の降水量の推定と降水システムの理解を実現しました。そして2014年に運用を開始した「全球降水観測(GPM)」衛星では、世界初の衛星搭載二周波降水レーダ(DPR)により、雨に加えて雪やみぞれの把握も可能になりました。さらに2024年の「雲エアロゾル放射ミッション(EarthCARE)」衛星には、世界初の衛星搭載W帯ドップラーレーダである雲プロファイリングレーダ(CPR)が搭載されました。JAXAはこのような技術開発により、雲の動きや水・氷の含有量、粒形の理解に貢献し、気候変動や地球科学の謎の解明を一歩ずつ前に進めてきました。

〇JAXAの強みを生かし次世代の地球観測へ
外部委員よりJAXAの地球観測における強みや社会への影響、今後取り組むべき課題について、様々な観点から意見が寄せられました。
今後のJAXAの地球観測技術開発においては、人間の目で直接見ることのできない地球全体の物理現象を捉え、「これまで見えなかったものを見えるようにすること」が重要な方向性になりうるとの見解が示されました。新たな物理量を観測するセンサや観測手法の開発は、従来技術では把握できなかった地球環境の変化やその兆候、メカニズムを明らかにしていくことにつながります。
特に気候変動の把握や将来予測には、長期間にわたる高品質な地球観測データが不可欠であり、データの校正・検証によりデータ品質を保証することはJAXAの取り組むべき重要課題の1つでもあります。
さらには革新的な観測技術を通じて、気候変動や自然災害などの複雑な現象の解明と予測を行うビッグサイエンスとしての目標を明確にする必要性も求められました。
委員からは今後の技術の方向性として、衛星観測データや数値モデル、AIを融合して仮想空間上で再現する地球デジタルツインが将来的な構想として示されました。JAXAが地球観測で蓄積してきたデータをAIと組み合わせることで、発見が難しかった地球科学上の謎の解明や将来予測につながると期待されます。
本委員会ではJAXAの持つ地球観測技術への期待が明らかになりました。委員の方からいただいた貴重なご意見をもとに、研究開発を一層加速してまいります。

最新情報を受け取ろう

公式ソーシャルアカウント