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2025.11.25(火)

【イベントレポート】JAXA地球観測データ利用30年記念シンポジウム
〜これまでの歩みと、これからの挑戦〜

『JAXA地球観測データ利用30年』特集の第7弾は、2025年10月24日に秋葉原コンベンションホールとオンラインのハイブリッドで開催されたJAXA地球観測データ利用30年記念シンポジウムの様子をご紹介いたします。現地229名、オンライン249名、計478名と大勢の方にご参加いただきました。

シンポジウムの様子(落合治 JAXA地球観測研究センター長の講演)

本シンポジウムは、1995年の地球観測研究センター(EORC)設立当時からの地球観測衛星データ利用に関するこれまでの歩みを振り返り、現在地を確認し、さらに次の30年に向けて目指すべき方向性や挑戦について議論しました。冒頭に、JAXAの山川宏理事長からの開会挨拶、来賓の文部科学省の古田裕志審議官、内閣府の風木淳局長からのご挨拶と共に、そして長年のパートナーであるNASA(米)のDr. Karen M. St. Germain、ESA(欧州)のDr. Josef Aschbacher、GISTDA(タイ)のDr. Pakorn Apaphantからのビデオメッセージをいただきました。EORC設立当時、科学技術庁(現在の文部科学省)で宇宙開発分野での活気を感じていた様子や、この30年、JAXAの地球観測衛星が気候変動の監視、防災・減災、気象、水産など様々な分野において貢献した事や、JAXAと各国の宇宙機関が国境を越えて協力してきた事が語られ、これからの更なる期待についてお話しいただきました。

ISS滞在中の油井亀美也宇宙飛行士からのビデオメッセージ

また、現在、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在しているJAXAの油井亀美也宇宙飛行士からは、ISS内の微小重力環境ならではのパフォーマンスも含んだビデオメッセージが寄せられ、10年ぶりのISSでの滞在で感じる、宇宙から見た地球環境の変化について語られました。

続く講演では、EORC初代センター長の田中 佐様、現在のEORCセンター長である落合 治からEORC設立当時の宇宙開発事業団(NASDA)を取り巻く状況や、様々な地球観測衛星の観測画像などを交えながら、この30年の歩みについて語られました。そして、EORCが所属するJAXA第一宇宙技術部門の地球観測統括の前島 弘則からは、JAXAが2025年4月から2032年3月までの7年間を対象とした新たな研究開発と業務運営の方向性を示す計画である「JAXA第5期中長期計画」における衛星地球観測の4つの重点テーマについて紹介がありました。

「衛星観測データの実利用 ~これまでの歩みと未来へのヒント~」のパネルディスカッションの様子
左からモデレータの沖理子(JAXA)、パネリストの松永恒雄様(国立環境研究所)、齋藤英樹様(森林総合研究所)、
斎藤克弥様(漁業情報サービスセンター)、佐藤芳昭様(気象庁)、小林知勝様(国土地理院)

「衛星観測データの実利用 ~これまでの歩みと未来へのヒント~」と題したパネルディスカッションでは、日頃から衛星データを利用されているパネリストの皆様から、それぞれの機関で衛星データを使われるようになったきっかけや、具体的にどのように活用されているかを紹介いただきました。さらに、今後衛星データを利用される方へのアドバイスとして、社会実装につながる研究を行うために、自分の専門分野だけでなく現場の利用者がどのようなことを求めているのか、また自分が作成・提供する情報の先で、何がまだ出来ていないのかを把握し、その実現に向けて働きかける等、自分の専門分野+αの部分も磨いて欲しいといった内容が語られました。

「将来におけるJAXA地球観測の在り方」のパネルディスカッションの様子
左からモデレータの高橋暢宏(JAXA/名古屋大学)、パネリストの建部洋晶様(海洋研究開発機構)、矢吹裕伯様(国立極地研究所)、城戸彩乃様((株)Archeda)、小林健史様(サグリ(株))、島田利元(JAXA)、菊池麻紀(JAXA)、棚田和玖(JAXA)

また、「将来におけるJAXA地球観測の在り方」と題したパネルディスカッションでは、地球観測データを利用されている研究者、ベンチャー企業の方々と、JAXAの中堅研究者がパネリストとなり、将来の方向性や課題について意見を交わし合いました。
パネリスト共通の意見として、新しいセンサも必要だが、長期的に同じセンサで安定したデータ提供の必要性とデータの品質保証の重要性が語られ、衛星地球観測におけるJAXAの役割が新しいフェーズへ移行しつつある変化が感じられるディスカッションでした。

瀧口太 JAXA理事による閉会挨拶は、衛星による地球観測の発展に関わってこられた皆様のおかげで、衛星データの利活用が飛躍的に進化したことへの感謝の言葉と共に、本シンポジウムが次の30年に向けた力強い第一歩となったと言葉で締めくくられました。

ロビーでの年表・地球観測衛星の紹介パネル展示の様子

会場外のロビーでは、JAXAの地球観測衛星を紹介したパネルやJAXA地球観測データ利用30年を記念して、これまでの歩みをまとめた年表のパネル、創立当時と現在のパンフレット等が展示されたほか、YouTubeで公開中のEORC30年記念のインタビュー動画も上映いたしました。

また、本シンポジウムの資料や動画はシンポジウムのウェブサイトに掲載されております。こちらもあわせてご覧ください。

<関連サイト>
JAXA 地球観測データ利用30年記念シンポジウム ウェブサイト
JAXA地球観測データ利用30年 特設サイト
【祝30周年】初代EORCセンター長に語ってもらいました!!【記念インタビュー#1】
【祝30周年】東京大学名誉教授/元EORCセンター長に語ってもらいました!!【記念インタビュー#2】
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