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2026.04.21(火)
【イベントレポート】フィリピンにて衛星降水データ利用ワークショップ「GPM/PMM Asia-Oceania Workshop 2026」を開催しました!
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、フィリピン科学技術省(DOST)傘下のフィリピン気象局(PAGASA)およびUniversity of the Philippines – Institute of Environmental Science and Meteorology(UP-IESM)との共催で、2026年3月26日(木)と27日(金)にフィリピン・ケソン市にあるUP-IESMにて「Global Precipitation Measurement (GPM)/Precipitation Measuring Mission (PMM) Asia-Oceania Workshop 2026」を開催いたしました。ワークショップにはアジア・オセアニア地域の12か国から約100名が参加し、全球降水観測計画(GPM)主衛星などによる衛星全球降水マップGSMaPをはじめとする降水プロダクトを活用した研究の成果報告や、現在開発中の次世代の降水レーダ衛星(PMM)に関する発表など、合計40件の発表が行われ、活発な議論が行われました。

オープニングセッションでは、PAGASA局長のNathaniel Servando氏よりウェルカムスピーチがあり、アジアオセアニア各国からの参加者を歓迎するとともに、衛星データの水資源管理や災害リスク評価への活用、本ワークショップを通じた関係機関間の協力促進への期待が示されました。

続いて、JAXA地球観測研究センター長の落合治氏より開会挨拶が行われ、日本とフィリピンの協力関係が着実に強化されていることや、本ワークショップがその一環であることが述べられました。あわせて、GPM主衛星の長期観測およびJAXAが開発中のPMM衛星を含む降水観測データの活用を通じ、アジア・オセアニア地域での連携強化につながることへの期待が示されました。
このほか、JAXAからGPM/PMMミッションや重点テーマ「水災害・水資源管理」、Sentinel Asiaの概要が紹介され、JICAの赤枝健治氏からは、地上観測設備が十分でない国・地域におけるGSMaPの有用性が報告されました。
本ワークショップでは、衛星による降水観測データを中心に、研究・技術開発から実運用・防災への応用まで、アジア・オセアニア地域を対象とした幅広い取り組みが共有され、以下のような発表や議論がありました。
■ アジア・オセアニア地域での現業利用の広がりや科学的知見の深化
GSMaPをはじめとする衛星降水観測データが、アジア・オセアニア地域の豪雨や干ばつといった極端気象現象のモニタリングや予測、早期警報の高度化において重要な役割を果たしている点が示されました。雨量計データや気象レーダによる地上観測や、気象モデルと組み合わせることで、観測空白域を含む地域における防災対応や水資源管理への実用性が高まることが共有されました。さらに、フィリピンをはじめとする各国における台風事例や極端降水を対象とした解析、降水の日変化や降水システムの理解に関する研究など、科学的観点からの活用事例も数多く報告されました。
■ 衛星降水データの精度向上に向けた取り組み
衛星降水データの精度向上に向けた取り組みとして、機械学習技術を活用した新たな推定手法の研究成果や地上雨量計を用いた評価やバイアス補正の開発等が紹介されました。特に山岳地域など、地形の影響が大きい地域での精度検証は、今後のプロダクト改良に向けた重要な知見として位置づけられました。
JAXAからはGSMaPの将来的な研究開発計画や、開発中のPMMの概要を紹介し、次世代衛星を活用した降水観測の発展性について活発な議論が行われました。また重点テーマ「水災害・水資源管理」の下で開発を進めるGSMaP雨量計補正ツール(G-LINT)の紹介を行い、各国からの期待の声も多く聞かれ、議論も活発に行われました。

■ 水文分野での衛星降水データの利用
水文分野では、洪水の早期警戒など水災害対応における衛星降水データの有効性が議論されました。十分な地上観測網が整備されていない地域において、衛星観測が重要な役割を果たすことや、地上観測データに基づく補正により水文モデルへの適用性が高まることが示されました。
さらに、JAXAからは陸域水循環シミュレーションシステム「Today’s Earth」の開発状況と、スリランカやフィリピンの洪水事例への適用結果が紹介されました。
■ PAGASA 施設見学
2日目には、PAGASAの施設見学が行われ、気象予報業務を行っている現業室や、河川・ダムのモニタリングを行う現業室を見学しました。また、PAGASAの職員からは現在現業で使用しているGSMaPの可視化ツールの紹介があり、特にGSMaPによる降水データがどのように現業で活用されているかご紹介がありました(PAGASAがGSMaPデータを元に開発・運用しているSatRExはこちら)。
多くの参加者がPAGASAの職員からの説明に熱心に耳を傾け、活発に議論している姿が見受けられました。

■ 最後に
本ワークショップを通じて、衛星降水観測は、データの精度の向上と現地観測との連携を進めることで、豪雨や干ばつの監視や洪水の早期警報など多様な分野において不可欠な基盤技術であることが改めて確認されました。次回ワークショップは2028年度を目途に開催する予定であり、JAXAは今後もアジア・オセアニア地域の利用者との連携を一層深めていきます。
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