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2024.11.11(月)
【イベントレポート】年に一度のJAXAの内部に入れる日!?
筑波宇宙センター特別公開2024を徹底解説!
東京ドーム約12個分の広さともいわれる筑波宇宙センターでは、普段はJAXA職員をはじめとした多くの人々が宇宙・航空技術について研究開発をしています。そのため、セキュリティが厳しく、一般見学に訪れても入れる場所は限られています。
そんな筑波宇宙センターでは、普段は入れないエリアにも入ることができ、ご来場いただいたみなさまにJAXA職員が日頃の研究活動について楽しく伝える特別公開というイベントを年に一度開催しています。今回のイベントレポートでは、2024年10月26日に開催された「筑波宇宙センター特別公開2024」について、人工衛星の開発・運用を担う第一宇宙技術部門のコンテンツを中心に、レポート形式でお送りします。
■筑波宇宙センター特別公開2024について
「筑波宇宙センター特別公開2024」では10月21日に宇宙飛行士として認定された米田あゆさん、諏訪理さんによる「JAXA宇宙飛行士候補者 基礎訓練報告会」や実際に使用されている宇宙機の環境試験設備の公開、JAXA職員による宇宙開発の仕事の解説など49のイベントが開催されました。
■第一宇宙技術部門による地球観測衛星イベント
第一宇宙技術部門では、総合開発推進棟を中心にJAXAが開発・運用する人工衛星についての様々な展示や体験イベントを展開していました。今回はその中から、今年打ち上げられた地球観測衛星である雲エアロゾル放射ミッション「EarthCARE」衛星(はくりゅう)と、先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)、今年度打上げ予定の温室効果ガス・水循環観測技術衛星「GOSAT-GW」の展示の様子をご紹介いたします。
- EarthCAREがお出迎え
- EarthCAREちゃんとしゃべろう!
- EarthCAREのCPRの構造モデル
- 「だいち2号/4号」で地球を観る
- だいち4号のペーパークラフトを作ろう!観測画像を見てみよう
- 「GOSAT-GW」サイエンスラボ
~ここでしか聞けない?! AMSRトーク・リレー&スタンプ・ラリー~ - 「GOSAT-GW」サイエンスラボ
~かんたん分光器でTANSO-3のミッションを理解しよう~
EarthCAREがお出迎え
普段、私たち第一宇宙技術部門を含め、沢山のJAXA職員が働いている総合開発推進棟の前にはEarthCAREデザインのこいのぼり、そして建物に入るとEarthCAREの巨大タペストリーがお出迎え。このタペストリーは、実際に宇宙から地球を観測しているEarthCAREの実物大で、その大きさはなんと17m。目の当たりにすると、このサイズのものを宇宙に運び日々地球を観測することのスケールの大きさを実感することができました。
EarthCAREちゃんとしゃべろう!
EarthCAREは雲がどうやって出来てくるのか、またその雲がどのような影響を及ぼすのか観測している衛星です。 雲をイメージした真っ白なパーカーを着たJAXA職員やEarthCAREちゃん(かわいい顔して結構イケボでしゃべります)が、EarthCAREの愛称である「はくりゅう」の由来やEarthCAREがどのように観測しているかを教えてくれました。ちなみにEarthCAREちゃんの右端のアンテナ部分が、日本(JAXA、NICT、NEC)が開発した雲プロファイリングレーダ(CPR)で、CPRは世界で初めて宇宙から雲の粒子の上下の動きを観測することに成功しました。
EarthCAREのCPRの構造モデル
臨時展示室ではEarthCAREのCPR構造モデル(本物)が展示されていました。
EarthCAREは映像で見ると雲プロファイリングレーダ(CPR)の銀色の部分はしわしわですよね。 実はこれは「サーマルブランケット」と呼ばれる外部の熱から衛星を守るものでおおわれているからなのです。
CPRの構造モデルの展示では「サーマルブランケット」が外された状態で展示されていました。周りの色が反射して映っているのがわかりますか?しわしわの中は結構つるつるとしています。 そして、「サーマルブランケット」はなんと「面ファスナー」で止められています。意外と身近な物が使われていますね。
「だいち2号/4号」で地球を観る
総合開発推進棟1Fの広い空間では「だいち2号/4号」のお仕事の紹介と共に、広い床に「だいち2号」が観測した関東エリアの画像が敷かれていました。
観測データは「だいち2号」のものですが、「だいち4号」が観測できる200km幅をイメージして広げられているので、とても大きなフロアマットでした。
皆さん、フロアマットの上に乗って、いつもとは違った角度から衛星画像を見て、JAXA職員から解説を受けていました。
青色や赤色の部分は2015年から2023年の間に起こった変化です。
青色は建物などが増えた部分、赤色は森林伐採等で減った部分です。
黒く見えるところは海などの水面の部分になります。
皆さんは下記の写真がどこを切り取った部分か分かりますか?(答えは記事の一番下に)
だいち4号のペーパークラフトを作ろう!観測画像を見てみよう
「だいち4号」のペーパークラフトを作るコーナーでは、皆さん30分くらいかけて、ペーパークラフトを完成させていました。3Dになると、「だいち4号」についているLバンド合成開口レーダやAISアンテナがどのようについているのか、よりわかりやすくなります。
また、「だいち4号」の初観測画像を実際に見て、そこから好きなところを切り取ってプリントアウトしてくれるコーナーもありました。
「だいち4号」で取得された画像はSAR画像と呼ばれる、地表の凹凸が分かる映像ですので、普段よく見る地図や光学衛星の画像とは少し異なります。「ここに写っている黒いエリアは何だろう?」とお話しながら、手元のスマートフォンのマップと比べたりしながら、千葉県から富士山付近までの観測幅200kmの画像からプリントアウトしてもらう場所を選びました。
「だいち4号」のペーパークラフトの
出来上がりを見せてもらいました
「だいち4号」の初観測画像の切り取り中
「GOSAT-GW」サイエンスラボ
~ここでしか聞けない?! AMSRトーク・リレー&スタンプ・ラリー~
2024年度に打上げ予定の「温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)」には、高性能マイクロ波放射計3(AMSR3)というセンサが搭載されており、AMSRシリーズ4番目の衛星となります。
AMSR3は1分間に40回もくるくると回る特徴的なセンサで地球の水を観測します。
「GOSAT-GW」サイエンスラボではJAXA職員が北極海やグリーンランド、モンゴルでの体験等を交えてAMSRについて様々な視点から語りました。最後のクイズに参加して全問正解するとかわいい缶バッチが貰えました。
「GOSAT-GW」サイエンスラボ
~かんたん分光器でTANSO-3のミッションを理解しよう~
「GOSAT-GW」にはもう一つ、温室効果ガス観測センサ3型(TANSO-3)という地球上の温室効果ガスを広範囲・高精度に観測するセンサも搭載されます。TANSO-3は、地表面で反射された太陽光の大気による吸収を観測します。また、観測した光の特徴を波長毎に分解し、解析することによって地表面から大気上端までの二酸化炭素やメタンなどの量が求められます。
「GOSAT-GW」サイエンスラボではプリズムのように光を波長(色)毎に分解できる特殊なレンズのついた、分光器を作成し、窓の外の光や室内の明り、ディスプレイに映し出された赤や青の光を覗いて、実際目に見えている光が沢山の色で構成されていることを観察し、TANSO-3による温室効果ガス観測の仕組みについて、理解を深めてもらいました。
クイズの答え
フロアマットの一部は茨城県のひたちなか市、水戸市、大洗町、茨城町の那珂川河口付近でした。 海は黒く映るので、海岸線や川や湖などから見ていくと場所を特定しやすいです。
AMSRが使用している電波(マイクロ波)で観測しているのは?
正解はB.海の温度 でした
「AMSR地球環境ビューア」ではAMSRシリーズが観測したデータを見ることができます。
文:松﨑
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