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地球を見守る衛星

開発中

EarthCARE/CPR

雲エアロゾル放射ミッション/雲プロファイリングレーダ

ミッション

雲プロファイリングレーダを載せて

EarthCARE(Earth Clouds, Aerosols and Radiation Explorer)は、日本と欧州が協力して開発を進める地球観測衛星です。 搭載する4つのセンサ(雲プロファイリングレーダ、大気ライダ、多波長イメージャおよび広帯域放射収支計)により、雲、エアロゾル(大気中に存在するほこりやちりなどの微粒子)の全地球的な観測を行い、気候変動予測の精度向上に貢献します。 雲プロファイリングレーダの設計・製造は日本電気株式会社が担当しています。

EarthCARE観測イメージ

複雑なシステムにより形成される地球の気候

将来の地球温暖化などの気候変動予測は、コンピュータによるシミュレーションで行われていますが、このシミュレーションの正確さは、自然現象をいかに正確に反映しているかが重要になります。 しかし、気候変動に関係する自然現象がすべて明らかになっているわけではないことなどから、予測の不確実性(予測の誤差)が生じてしまいます。 この不確実性が生じる要因でとりわけ大きいとされているのが、地球大気の放射収支における雲やエアロゾルの効果です。

雲・エアロゾルがもたらす気候変動予測の不確実性
エアロゾルによる雲調整についての確信度(科学的理解)が低い。
(出典:IPCC-AR5/WG1, 訳:気象庁)

放射収支と温室効果ガス

放射収支というのは、地表面が太陽から受けるエネルギーと、地表面から宇宙に逃げていくエネルギーの差のことで、地球の気温はこの放射収支によって決まります。 放射収支は地球の様々な物質に影響されますが、例えば、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスは、地球から放射されるエネルギー(熱)が宇宙に逃げるのを妨げる効果があるので、大気中の濃度が増えると地球が温まります。

雲・エアロゾルが放射収支に及ぼす影響

雲やエアロゾルも温室効果ガスと同様に、放射収支に影響することがわかっています。雲は、陸や海から放射される熱を吸収し、地球を温める効果がある一方で、太陽光を反射して、地球を冷やす効果もあります。 この温室・冷却効果は、多層になっている雲の厚さや形、高さ、雲に含まれる水分量、雲粒の大きさなどによって変わります。例えば、高いところにある雲は地球を温め、低いところにある雲は、地球を冷やします。
また、エアロゾル自体も太陽からの光を反射したり吸収したりする特性があるうえ、エアロゾルがあるかないかで雲の性質が大きく変わります。例えば、エアロゾルが多い場所で出来た雲と、少ない場所でできた雲では、雲ができて消えるまでの時間が違います。

EarthCAREの必要性

このように、地球の温度変化に影響を与える雲・エアロゾルですが、実はこれらの現象がどうして起きるのか科学的に解明されておらず、どの程度の確かさで地球の温度変化に影響するのかわかっていません。 というのは、雲の大きさは数km~数百km及び、地上からの観測だけでは全体を詳細に観測することができないからです。 また、これまでの気象衛星では、宇宙から雲全体を見渡すことはできましたが、表面的に雲を観測するだけで、放射収支を調べるうえで肝心の内部構造まで観測することができませんでした。
EarthCAREは地上設備や気象衛星では観測できなかった、雲全体の内部構造を観測することができるので、これまで科学的に解明されてこなかった雲・エアロゾルが気候変動に与える影響の科学的理解の促進が期待されています。

EarthCAREの形状や搭載パーツについて

① 雲プロファイリングレーダ(CPR)
日本が開発を担当。レーダを使って雲の鉛直構造を調べます。レーダは台風のような厚い雲の内部までも捉えることができます。

② 大気ライダ(ATLID)
欧州宇宙機関が開発を担当。衛星からレーザー光線を大気に照射することにより、大気中の微粒子(黄砂やPM2.5等)やごく薄い雲の鉛直構造を調べます。

③ 多波長イメージャ(MSI)
欧州宇宙機関が開発を担当。イメージャと呼ばれるカメラのような装置を使って、雲や大気微粒子(黄砂等)の水平方向の構造を把握します。

④ 広帯域放射収支計(BBR)
欧州宇宙機関が開発を担当。放射計と呼ばれる装置を使って、太陽光の反射や地球からの熱放射の総エネルギー量を測ります。

技術

  • 雲の分布だけでなく動きもわかる!ドップラー速度計測機能がスゴイ!
  • 世界最大なのに高精度! 大口径アンテナがスゴイ!

EarthCAREで使われている技術のここがスゴイ!

EarthCAREに搭載するCPR(雲プロファイリングレーダ)は、衛星軌道上から地球に向かってミリ波帯電波を送信し、雲粒によって散乱されてくる電波を受信します。 これまでにない大型のアンテナを持ち、大電力を送信することで、現存する衛星搭載雲レーダよりさらに高感度で観測を行うことができます。

雲の分布だけでなく動きもわかる!ドップラー速度計測機能がスゴイ!

CPR(雲プロファイリングレーダ)は、衛星搭載用ミリ波レーダとして世界初のドップラー速度計測機能付きレーダです。これにより、全地球上で雲の鉛直構造だけでなく雲の上昇や下降などの動きを知ることができます。

世界最大なのに高精度! 大口径アンテナがスゴイ!

CPR(雲プロファイリングレーダ)に用いる大型ミリ波アンテナは、衛星搭載観測センサとして世界最大の直径2.5mもあります。 さらに鏡面精度も60µm以下であり(東京ドームの大きさに換算すると約6mmの誤差で製造していることに相当)、大型化と高精度化という、相反する要求を同時に実現します。

雲プロファイリングレーダ(CPR)

仕様

項目 仕様
ミッション機器 ・雲プロファイリングレーダ  Cloud Profiling Radar(CPR)
・大気ライダ  Atmospheric Lidar(ATLID)
・多波長イメージャ  Multi-Spectral Imager(MSI)
・広帯域放射収支計  Broad-Band Radiometer(BBR)
質量 約2.2t
発生電力 約3400W
設計寿命 3年
運用軌道 高度約393km(赤道上)
打上げ年月日 2022年度(予定)
打上げロケット Soyuz ロケット(予定)

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人工衛星への熱き想い!

人工衛星は機械ですが、人工衛星を研究開発して運用するために、JAXAの宇宙開発の現場ではプロジェクトチームとして多くの人が協力して働いています。ここでは衛星プロジェクトを支えるストーリーを紹介します。ミッション遂行に向けた熱い想い、大変な話、感動する話、面白エピソード、普段聞けない裏話などなど。

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