お知らせ

2022.02.10(木)

JST採択研究「超広帯域アンテナ・デジタル技術を用いたレーダ及び放射計の開発と実証」実施にかかる三者協定の締結について

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(理事長:山川 宏、以下、JAXA)、株式会社ウェザーニューズ(代表取締役社長:草開 千仁)、アンテナ技研株式会社(代表取締役:藤原 純)の三者は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「未来社会創造事業(大規模プロジェクト型)」 令和3年度の技術テーマ※1に採択された研究開発課題(代表研究機関 JAXA)※2に対し、三者間で協定を締結し、取り組みを開始したのでお知らせいたします。

※1:技術テーマ「安全・安心かつスマートな社会の実現につながる革新的マイクロ波計測技術」     https://www.jst.go.jp/mirai/jp/program/large-scale-type/theme09.html
※2:研究開発課題名「超広帯域アンテナ・デジタル技術を用いたレーダ及び放射計の開発と実証」 https://www.jst.go.jp/mirai/jp/uploads/saitaku2021/JPMJMI21A1_summary.pdf

■取り組みの背景
日本国内では、近年線状降水帯などによる集中豪雨に伴う、電力や交通インフラの被害が増え、経済損失が高まっています。
路面下の空洞の存在に起因する局所的な地盤沈下、地中下にあるガス、水道管の老朽化などインフラの老朽化が指摘されています。インフラ老朽化の調査・点検は地中探査レーダなどにより実施されていますが、装置が高価で重い、レーダ画像が判読しにくいという課題があります。
漁業においては、年々漁獲高の減少や漁業者の高齢化、人手不足など課題になっています。
本取り組みでは、こうした社会的な課題への解決に貢献することを目指します。

■取り組みの概要
これらの課題に対し、JAXAが研究開発する超広帯域アンテナ技術※3、超高速デジタル変換技術※4を適用して三者がそれぞれ個別に計測器を開発し、課題解決に取り組みます。各社の分担は下記の通りです。

※3:超広帯域アンテナ技術は、下限と上限周波数の比が従来10倍程度であったものを30倍程度に拡張。
※4:超高速デジタル変換技術は、データ取得速度が従来数ギガHzであったものを数十ギガHzに高速化。

■各社の分担
JAXA:超広帯域アンテナ技術と超高速デジタル変換技術により、地上からの人工電波を識別・分離が可能となります。これにより欠測ない観測をすることができるだけでなく、新たに衛星からの海洋の塩分濃度の観測が可能な「超広帯域電波デジタル干渉計」※5を開発します。
これまでJAXAが運用してきた衛星搭載マイクロ波放射計は海面水温や海上風速の観測を行ってきましたが、この干渉計はこれらに加え塩分濃度を観測することができるため、魚種別漁場分布の予測を高度化し、スマート漁業にも貢献することを目指します。

※5:図参照

ウェザーニューズ: これまでの単一周波数帯域の気象観測レーダでは雲の生成を一つのレーダで観測することができませんでした。超広帯域アンテナ技術と超高速デジタル変換技術を適用して多周波レーダ放射計システムを開発することでこの観測を可能とし、線状降水帯などによる豪雨発生メカニズムの理解を深め気象予報の高度化を図ることを目指します。

アンテナ技研: 超広帯域アンテナ技術を適応することで、公共のマイクロ波を送信源とする送信機能が不要な地中探査レーダを開発します。また、超高速デジタル変換技術を適応した処理により利用する公共電波を選択することで、これまでより判読が容易な画像が取得できます。このように地中探査レーダを小型・軽量・廉価なものにすることでガス、水道管など地中埋設物の調査・点検の効率化を目指します。

■SDGsへの貢献
これらの取り組みは、国連の持続可能な開発目標であるSDGsゴール9『産業と技術革新の基盤をつくろう』、ゴール11『住み続けられるまちづくりを』、ゴール13『気候変動に具体的な対策を』、ゴール14『海の豊かさを守ろう』への貢献を目指します。

(図)JAXA、ウェザーニューズ、アンテナ技研の取り組みで達成される利用の概要 ©JAXA

参考
ウェザーニューズ プレスリリース
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