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- 更新情報 2024.10.04 (金)
ミッション
「位置」と「時刻」を教えてくれる衛星測位システム
私たちの生活に根付いているカーナビゲーションシステムやスマートフォンなどで使用されているナビゲーション機能は、衛星測位システムで実現されています。世界各国で衛星測位システムは構築され、アメリカのGPS、ロシアのGLONASS、ヨーロッパのGalileo、中国のBeiDou、インドのNavICが運用されています。日本の衛星測位システムは準天頂衛星システム(QZSS:Quasi-Zenith Satellite System)「みちびき」と呼ばれています。
みなさんがお持ちのカーナビゲーションシステムやスマートフォンではこれらの衛星測位システムからの信号を受信し、位置と時刻を計算し、利用しています。
正確な「位置」と「時刻」を知るためには
衛星測位システムとは、”複数衛星を用いて正確な位置と時刻をリアルタイムにユーザに提供するシステム”を言います。右の図のように、ユーザは測位衛星の位置と時刻を基準にカーナビゲーションシステムやスマートフォンなどのユーザ受信機との距離を測り、その交差する点を計算により求めることで、受信機の位置を知ることができます。
位置を知るために必要な測位衛星側の位置と時刻は測位信号のメッセージに含まれています。また、「測位衛星とユーザ受信機との距離」は「測位衛星から送信された信号を受信機で受けるまでに要した時間」に「測位信号の伝搬速度」をかけることで算出します。
例えば2023年1月1日 0時0分0秒に測位衛星から送信された測位信号を受信機の時計で2023年1月1日 0時0分1秒に受信した場合、測位信号(電磁波)の伝搬速度である29万9792.458km/秒に伝搬時間1秒をかけることで、測位衛星と受信機の距離は29万9792.458kmと求めることができます。
ところで、ユーザ受信機の時刻は測位衛星の時刻と正確に一致していないため、このままでは正確な距離を求めることはできません。このため、「ユーザ受信機の時刻」を分からないもの(方程式で受信機の時刻を未知数として扱います。)とし、交点を求める計算をする際に一緒に計算することで、緯度・経度・高度と同時に受信機の時刻を求めます。4つの情報(緯度・経度・高度・時刻)を同時に求めるために、ユーザ受信機は4つ以上の測位衛星から同時に測位信号を受信する必要があります。
このようにして算出されるユーザの「位置」と「時刻」の精度は、測位信号に含まれる測位衛星の「位置」と「時刻」の精度に依存します。ユーザに高精度な「位置」と「時刻」をサービスするためには、測位衛星の「時刻」を精密に管理した上で、その「位置」を正確にユーザ受信機に伝達することが求められます。JAXAではこれらの高精度化を目指して研究開発を行っています。
準天頂衛星システムのミッションとJAXAの役割
準天頂衛星システムは、日本およびアジア・オセアニア地域において高精度な測位サービスを行うシステムであり、内閣府が整備および運用を実施しています。2023年10月現在、準天頂衛星初号機後継機、2号機、3号機、4号機の4機体制でサービスが提供されており、今後は準天頂衛星5号機、6号機、7号機の打上げ、サービス開始が予定されています。これまでの4機体制では、準天頂衛星とGPSや他国のGNSSを併用することで測位を実現していましたが、準天頂衛星システムが7機体制になることで、日本近傍では常に4機以上の準天頂衛星から測位信号を受信でき、他のGNSSが利用できない場合においても準天頂衛星システム単独での測位(持続測位)を実現することができるようになります。
準天頂衛星システムの詳細は、以下の内閣府公式サイトをご参照ください。
・みちびき(準天頂衛星システム:QZSS)公式サイト – 内閣府
内閣府からの受託事業として、JAXAは7機体制構築に向けて、高精度測位システムの開発と実証を行います。高精度測位システムは準天頂衛星5号機、6号機、7号機に搭載されるペイロード(衛星間測距システム、衛星/地上間測距システム搭載系および測位信号を生成する測位ペイロード)および地上システム(衛星/地上間測距システム地上系、地上検証システム)で構成されます。
技術
- 衛星間測距システム
- 衛星/地上間測距システム
- 地上検証システム
①衛星間測距システム
測位衛星の位置は、地上に設置した複数の観測点(地上監視局)を基準とし、そこからの距離を測る方法(ユーザ測位と同じ原理)で求めます。精度よく位置を求めるには様々な方向からのデータを用いるのがよいのですが、地球上の観測点からのデータだけでは方向に偏りがあり、測位衛星の位置の精度には限界があります(図のように各線が重なる赤い範囲が測位衛星の位置誤差になります。)。
衛星間測距システムにより軌道上にある衛星間の距離を測ることは、地上の監視局とは異なる方向から衛星までの距離を測ることになり(宇宙空間に監視局を置くのと同等の効果が得られる)、赤枠(測位衛星の位置誤差)を小さくすることができるため、測位衛星の位置と時刻の推定・予報精度が向上します。
②衛星/地上間測距システム
測位衛星の位置を求めるために時刻を利用することから、衛星時刻の推定精度が悪いと衛星位置の誤差にもなります。本システムでは、衛星から地上、地上から衛星の双方向に距離を測ることで、衛星と地上側それぞれが持つ時刻誤差に起因する距離誤差を打ち消すことができるため、測位衛星の位置と時刻の推定・予報精度が向上します。
③地上検証システム
地上検証システムは、新たに開発した衛星間測距システム・衛星/地上間測距システムの実証運用を行うためのシステムです。従来は、監視局で受信した測位信号を用いて測位衛星の位置と時刻の推定・予報を行いますが、新たに開発した衛星間測距システムおよび衛星/地上間測距システムが観測した情報を加えることにより、測位衛星の位置と時刻の推定・予報精度の向上を実現します。なお、実証運用は準天頂衛星システムのサービスに影響を与えないように行います。
関連情報
関連サイト
みちびき(準天頂衛星システム:QZSS)公式サイト-内閣府
みちびき 準天頂衛星初号機 – JAXA 第一宇宙技術部門 サテライトナビゲーター
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人工衛星は機械ですが、人工衛星を研究開発して運用するために、JAXAの宇宙開発の現場ではプロジェクトチームとして多くの人が協力して働いています。ここでは衛星プロジェクトを支えるストーリーを紹介します。ミッション遂行に向けた熱い想い、大変な話、感動する話、面白エピソード、普段聞けない裏話などなど。
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