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ロケットの振動・音響の環境に衛星が耐えられるか

きずな(WINDS)プロジェクト前田 剛

Q.前田さんが現在担当されているお仕事を教えてください。

A.私が所属している「WINDSプロジェクトチーム」は、世界最高速レベルの衛星インターネット通信を行う人工衛星を開発しています。日本語名は「超高速インターネット衛星」といいます。WINDSプロジェクトは現在、詳細設計※1のフェーズにあり、熱構造モデルの試験が先日終了したところです。
※1 詳細設計: フライトモデル (実際に宇宙へ打ち上げる機器) を設計する段階。ここでは設計に必要な試験として、搭載機器のエンジニアリングモデル (EM) を用いた試験や、システム (衛星全体) レベルの電気モデル (SEM) や熱・構造モデル (STM) の試験を実施します。

Q.熱構造モデルとは何でしょうか?

熱構造モデルというのは、ロケットによる打ち上げ時の厳しい環境 (振動・音響・衝撃) に耐えられるか、宇宙空間という過酷な温度変化のある環境で、機器が正常に動作する温度範囲にコントロールできるのかを確認するために製造するモデルです。その熱構造モデルに関する試験計画の立案、実施、結果の評価を行い、衛星の設計に問題がないことを確認するのが私の仕事です。

Q.試験結果の評価とはどのようなお仕事ですか?

例えば、構造試験について、ロケットの振動・音響の環境に衛星が耐えられるかどうか、予定 (設計) 通りの振動レベルに収まっているかどうかを確認します。衛星の振動を計測する部位は400箇所に及びますので、1回の振動試験 (加振) で取得するデータを紙にすると20センチくらい (キングファイル1冊分くらい) の書類の量になります。そのような加振が、合計でざっと20回以上にも及びます。打上げの条件として衛星全体の固有振動数が縦方向(衛星の直立方向)に30ヘルツ※2以上、横方向に10ヘルツ以上であることと決められていますので、それらが確保されているかをチェックをします。
※2 ヘルツ: 1秒間に何回振動するという単位

Q.具体的な試験の内容を教えてください。

熱試験では軌道上の熱の環境 (太陽光があたる高温ケースでは100℃以上、地球の影になる低温ケースでは-100℃以下) を模擬し、衛星に搭載する機器の温度を確認します。-200℃でも+200℃でも絶対に壊れない機器があればいいのですが、残念ながら、そんなに便利なものはありません。いくら宇宙用とはいえ、人工衛星の機器も激しすぎる温度変化には耐えられません。そのため、なるべく地上での温度変化の範囲と同じくらいに軌道上でも保てるように、熱を衛星の外部に捨てる仕組み (放熱パネル) や、熱を遮る仕組み (断熱材=多層断熱材MLI) や、暖める仕組み (ヒータ) をつけています。

Q.試験結果に問題があったときはどうするのですか?

画像:きずな(WINDS)プロジェクト 前田 剛

例えば、熱試験が解析結果から大幅に外れてしまったときに考えられる対処法としては、MLIや放熱パネルの配置や大きさを変更します。熱を出す機器の配置を換えるという手段もあります。しかし、これまでに得られた試験結果は良好で、大きな問題はありません。

Q.現在担当されているお仕事で、どんなときにやりがいを感じますか?

担当している構造試験、熱試験で、設計解析通りの試験結果がどんどん出てきたときですね。

Q.現在担当されているお仕事で苦労した話を聞かせてください。

それほど苦労はしていませんが、あえてあげるとすれば、試験スケジュールの調整でしょうか。振動試験にせよ、熱試験にせよ、システムレベルの試験は1ヶ月以上と非常に長くなります。準備期間も含めれば、半年にもなります。必要なときに試験設備が確保できなければ、打上げスケジュールにも影響します。

Q.前田さんが宇宙開発を志したきっかけはなんだったんですか?

小さい頃から宇宙開発を志していたわけではありませんが、父親が工業高校で教鞭を取っていたこともあって、大学や職業は理系しか考えていませんでした。当然、幼少期にみたテレビ (「宇宙戦艦ヤマト」、「銀河鉄道999」等々) や映画の影響もあります。「2010年宇宙の旅」の影響はとくに大きくて、「新発見を体験したい!」と思ってました。JAXAで仕事していれば、いつかはモノリスに出会えると信じています (木星が爆発するとは思ってませんが、どこかの惑星に生命がいたらなあ、とか)。
ついでですが、大学では志望していた航空宇宙工学ではなく船舶海洋工学に進みましたが「いつかは宇宙船をつくってやる!」とも思っていました。

Q.今後会社でどんなことをやりたいですか?

「新発見を体験したい!」ので、その為に必要なプロジェクトを立ち上げたいですね。いまだに半人前 (身長は人一倍) なので、私の頭の中には具体的な計画はありませんけれど・・・。衛星開発に限らず、チャンスがあればロケット開発や有人や月面基地の計画にも携わることが出来ればうれしいですね。

Q.宇宙開発をしていなかったら、今何をしていると思いますか?

画像:きずな(WINDS)プロジェクト 前田 剛

大学とかで研究者になっていたらいいですね (希望)。父親の影響で教職も少し考えていて大学教授が夢でしたけど。バイトで塾講師をしましたが、先生業はそこまででした。

Q.マイブームを教えてください!

最近はもっぱら育児ですね (ホントか!!とお叱りの声が聞こえそうですが)。4歳 (男の子) と0歳 (女の子) になる子供がいるんですが、ホームビデオを撮ってパソコンで編集して大阪の実家に送ったりしてます。子供がスポーツを始めたら一緒に何かしたいので、体力アップを図らなければと考えてます。大学では体育会系だったなんて、恥ずかしくて言えない状態です。

最後に読者へ一言お願いします!

「こんなインタビューでよかったのかなあ?」と、ちょっと心配ですが、このコラムは仕事内容の紹介もさることながら、職員の実態を披露するのも目的なんですよね。
冗談はさておき、IT革命なんて死語かもしれませんが、誰もが宇宙を身近に感じることができるSPACE革命の到来を夢見てこれからも頑張ります。興味をお持ちの学生諸君! ぜひ一緒に働きましょう!!

プロフィール

画像:きずな(WINDS)プロジェクト 前田 剛

前田 剛(まえだ・つよし)

大阪府出身
NASDA (現JAXA) に入社後、管理部門、衛星システム設計部門などを経て現職に至る。

過去のインタビュー一覧

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