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常にチャレンジする意識を持って宇宙開発に貢献したい

明星電気株式会社 宇宙防衛事業部 技術部 技術グループ畠山 千尋

超低高度衛星技術試験機「つばめ(SLATS)」は、従来の地球観測衛星(高度600~800km)より地上に近い高度300kmを飛行するため、光学画像のさらなる高分解能化が期待されています。 「つばめ」に搭載されている光学機器「小型高分解能光学センサ(SHIROP)」と「光学センサ(OPS)」を開発した明星電気株式会社の畠山千尋さんにお話をお聞きしました。

画像:slatsインタビュー:明星電気株式会社 畠山 千尋

畠山 千尋さん

―「つばめ」のどのような部分を担当したのですか?

弊社は「つばめ」の観測機器2機種、小型高分解能光学センサ(SHIROP)と光学センサ(OPS)を開発しました。 SHIROPは直径20cmの光学望遠鏡で、「つばめ」が周回する超低高度軌道上から地上を高分解能で撮影することができる、 「つばめ」のメインともいうべき観測機器です。もう1つのOPSはSHIROPほど高分解能ではありませんが、地上をカラー撮影する光学望遠カメラで、 広範囲を撮影することができます。私はこれらの機器の熱設計を担当しました。

画像:slatsインタビュー:明星電気株式会社 畠山 千尋 観測衛星の小型化および衛星小型化

観測衛星の小型化および衛星小型化

  • 光学センサの場合、高度低下に
  • ①センサそのままなら、解像度向上
  • ②解像度そのままならセンサ小型化
  • が可能になります。

  • この特性を生かすことで、地球観測画像の更なる高精細化や低コスト化に貢献し、新たな衛星利用を生み出します。

―開発の際、特に苦労したのはどんなことでしょうか?

「つばめ」は超低高度を飛ぶので、大気中の酸素分子が太陽の紫外線によって分解された原子状酸素にさらされます。 そのためSHIROPに巻く(※注1)MLI(多層断熱材)も普通のものではなく、原子状酸素に耐性を持つ素材を選んで設計しています。 またMLIで覆えない望遠鏡の開口部は専用の塗料を開発して保護しました。 そういった素材はこれまでにも国際宇宙ステーション(ISS)に使われる機器で使ったことがありましたが、衛星の機器用に使うのは初めてだったので、大変な面がありました。
また、SHIROPの望遠鏡の筒部分の素材はあまり熱の影響を受けないということでしたが、温度の変化によって予想より伸び縮みが大きくなり、ピントが合わなくなってしまうことがわかりました。 熱解析を何度も行い、筒部分の温度分布を均一にするため、取りつけ部分にしかなかったヒーターを先端にもつけることにしました。 しかしSHIROPに割り当てられたリソースでは電力が足りておらず、JAXAさん、「つばめ」本体のメーカーである三菱電機さんに「なんとか電力をいただけないか」とお願いし、問題を解決することができました。
OPSは、(※注2)温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」のモニターカメラなど、これまで開発してきたさまざまな機器の実績を活かすことができたので、SHIROPほどの苦労はありませんでしたね。

―数多くのメーカーがある中で、明星電気が選ばれる強みとは?

フットワークの軽さでしょうか。私が所属している解析チームは、熱解析が4人、構造解析が2人です。 チームには衛星やプロジェクトごとといった区分けがなく、お客様の要望に対してわからないところはお互い質問しあったり、忙しいときにはフォローしあったりして柔軟に対応しています。 レスポンスよく対応できるというところが、お客様からいちばん喜ばれているところだと思います。 JAXAの方々とも頻繁に打ち合わせさせていただいており、議論が白熱してついつい帰りが夜になってしまうこともありますね。 観測機器は性能が最優先ですが、実際に搭載する際には質量や電力の条件がきびしいので、バランスのいい仕様をご提案させていただいています。

画像:slatsインタビュー:明星電気株式会社 畠山 千尋 明星電気

明星電気

―畠山さんが明星電気を就職先に選んだ理由は?

子どもの頃から宇宙に興味があったので、就職も宇宙に関わっている会社に行こうと考えていました。 大手企業の場合、希望しても必ずしも宇宙の仕事ができるとは限らないのですが、明星電気では、やりたいことをやらせてもらえるという話を聞いて入社しました。実際、 希望通り入社1年目から宇宙開発の部署に配属されましたので、「どうしても宇宙に関わる仕事をしたい」という人は、弊社はおススメだと思います。それだけ仕事によって得るものは大きいですね。

―宇宙に関わる仕事のやりがいは?

これまで私は国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟の(※注3)曝露部用民生品高精細ビデオカメラシステム(COTS HDTV-EF)やH-IIAロケット、イプシロンロケットのロケット搭載カメラのシステム設計を担当し、 熱設計に移った後はSHIROP、OPS、(※注4)ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の木星探査計画「JUICE」の観測機器の開発などを担当しています。 これらの仕事でいちばんやりがいを感じるのは、自分の開発した機器が打上がって設計どおりに動いたのを確認した瞬間です。 製品を開発して試験し、納品してさらに打上げまでは長い時間がかかり、その間ちゃんと作動するかどうか心配していますので、動いた瞬間は「本当によかった」と思いますね。
超低高度を飛ぶ「つばめ」はチャレンジングなミッションだと思いますし、SHIROPの画像は将来、災害対策などに役立てられる可能性があります。 そのようなミッションに関われてやりがいを感じるとともに、私自身も常にチャレンジする意識を持って宇宙開発の仕事をしていこうと心がけています。

―これからの目標を教えてください。

これまで私が担当しているものは、地球周回の衛星がほとんどですが、これからは惑星探査に関わる仕事を増やしていきたいですね。 そういった仕事のお話をいただいているので、よりきびしい環境に耐えられる惑星探査機用機器設計の技術をどんどん吸収してスキルアップしていきたいと思っています。

  • 【注】
  • ※注1 MLI(多層断熱材)…Multi Layer Insulation。衛星に搭載される機器を宇宙空間の過酷な熱環境から守るための多層断熱材。
  • ※注2 室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」…温室効果ガスと言われる二酸化炭素やメタンなどの濃度分布を観測する衛星。
  • ※注3 曝露部用民生品高精細ビデオカメラシステム(COTS HDTV-EF)…「きぼう」船外実験プラットフォームに設置されたハイビジョンカメラシステム。
  • 民生用ハイビジョンカメラの曝露環境での宇宙実証を目的としている。2018年現在、後継機である次世代ハイビジョンカメラシステム(HDTV-EF2)
    が運用中である。
  • ※注4 ESA(ヨーロッパ宇宙機関)…European Space Agency。フランス、イタリア、ドイツなどヨーロッパ各国が設立した宇宙開発・研究機関。
  • JUICE…JUpiter ICy moons Explorer。ESAが進めている木星の衛星ガニメデ、カリスト、エウロパを探査する計画。

インタビュー

本文ここまで。
画像:ロケットの情報を掲載 ロケットナビゲーター
画像:宇宙から見た地球を紹介 地球観測研究センター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
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