人工衛星プロジェクト いぶき(GOSAT)をご紹介します。
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このまま地球温暖化が進むと、洪水や海面上昇など、数世紀以内に大きな地球環境の変動が起こる可能性が高いと指摘されています。そのため、1997年京都で開かれた第3回気候変動枠組条約締約会議(COP3)では、2008年〜2012年の5年間の平均で、「温室効果ガス」を1990年水準から6〜8割削減することを義務付けています。
更に、世界気象機関 (WMO) と国連環境計画 (UNEP) によって、各国が地上・海洋・宇宙での観測を一段と強化する「全球気候観測システム (GCOS: Global Climate Observation System)」が提案されており、いぶき(GOSAT)はこの観測に貢献する目的を持った衛星です。
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いぶき(GOSAT)は地球から宇宙へ放射される赤外線を宇宙で観測します。この赤外線を詳しく分析することにより、大気中の温室効果ガスの濃度を算出することができます。
太陽光をプリズムに通すと、光がスペクトル (虹色の帯) に分解されますが、ところどころスリット状に光が暗くなっている部分があります。これは、光がある物質を通過する際に、特定の色、すなわち特定の波長をもつ成分だけが吸収されるために起こる現象です。暗くなっている部分は「吸収線」と呼ばれ、その色(波長)は通過した物質の種類によって固有のものです。また吸収される量は通過した物質の量に比例します。同じ現象は、人間の目には見えない赤外線の領域でも起こり、温室効果ガスの吸収線は、赤外線の領域に数多くあります。
いぶき(GOSAT)による観測では、太陽から出て地表面で反射した赤外線や、地球自体から放射される赤外線のスペクトルを観測し、大気中に温室効果ガスがどれだけ含まれているかを算出します。

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いぶき(GOSAT)搭載センサは、赤外線をスペクトルに分解するために、「フーリエ分光計」という方式を採用しています。フーリエ分光計は精密で複雑な機構を必要とすることから、その開発には高い技術レベルが要求されますが、その他の分光方式 (プリズム、回折格子など) と比較してはるかに鮮明で精密なスペクトルが得られます。またいぶき(GOSAT)の観測センサは、赤外線の広い波長範囲 (近赤外域〜熱赤外域) にわたるスペクトルを観測し、より多くの吸収線を測定することにより、さらに観測精度を高めることを目指しています。

検出器では長さの異なる光路A、光路Bを通過した太陽光(赤外線)を同時に検出するが、可動ミラーの往復運動により、光路Aと光路Bの長さの差を変化させることで、「インターフェログラム」と呼ばれる信号が得られる。この信号に「逆フーリエ変換」という演算処理を施すと、太陽光(赤外線)のスペクトルが得られる。
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いぶき(GOSAT)の衛星バスや観測データ処理装置の設計に当たっては、これまでに既に軌道上に打上げられ、宇宙空間での機能・性能を実証済みのコンポーネント・部品を最大限活用することにより、高い信頼性を確保します。
また地球観測衛星の形態としては、従来は一機に多数の観測機器を搭載した大型衛星が主流でしたが、リスク低減の観点から、いぶき(GOSAT)は温室効果ガスの観測に絞り込んだ単一ミッションの中型衛星とし、ミッションに最適化した衛星を短期間で開発することが可能となりました。いぶき(GOSAT)ミッションで確立する中型衛星バスは、後続のミッションにも広く応用されることが期待されています。



