アラル海の消滅

かつて世界第4位の面積を誇る湖であったアラル海が消滅しようとしています。アラル海で何が起きたのでしょうか。衛星画像を見ながら考えてみましょう。

アラル海の衛星画像
(1988年:Landsat、2003年:みどりII、2023年:しきさいで観測)

上の図は地球観測衛星から撮影したアラル海の様子です。アラル海は世界第4位の面積を誇る湖でしたが、今ではかつての面積の10分の1以下になってしまいました。

アラル海はカザフスタンとウズベキスタンにまたがる湖です。1960年代に、アラル海の東に広がる乾燥地帯を農地に変え綿花の栽培を行うために、大規模な灌漑(かんがい)農業を始めました。その際にアラル海に流れ込むアムダリア川とシルダリア川という2つの川の水を灌漑用水として大量に利用しました。これがアラル海の縮小の原因となりました。

また水位の低下はアラル海の生態系に大きな影響を与えました。魚類や鳥類などの生物が絶滅し、漁業も壊滅的な打撃を受けました。干上がった湖底からは塩分が飛散し、広い範囲で農作物への被害や大気汚染、健康への被害をもたらしています。アラル海の水位低下は人間活動による環境破壊の典型的な例として知られています。

干上がったアラル海と取り残された船
缶詰工場の廃墟

■アラル海の消滅から学べること

アラル海の縮小は、灌漑用水の過剰使用が主な原因でした。水に限らず資源は有限です。持続可能な資源の利用として、水やエネルギーなどの資源を将来にわたって利用できるように、節水や節電、リサイクルなどの取り組みを行うことが重要です。また持続可能な社会の実現には、灌漑農業で生計を立てている人々の暮らしにも配慮することが重要です。そのためには、灌漑農業の効率化や、代替農業の開発など、様々な取り組みが必要となります。

■発問例

1.1988年、2003年、2023年の画像を比較して何が分かるでしょうか。
2.アラル海の水が減ってしまったのはなぜでしょうか。
3.アラル海の水が減ったことで、どのような問題が起きたでしょうか。
4.今後このようなことが起きないためにはどうしたら良いでしょうか。

■活用場面例(教科書 単元)

<中学>
地図 世界の環境問題
公民 私たちと国際社会(地球規模の環境問題と国際協力)

<高校>
地理総合 国際理解と国際協力(地球的課題と国際協力)
地学 人間活動と地球環境
現代社会 地球環境問題

■教材サンプル

■小学校高学年向けの教材はこちら

■中学生・高校生向けの教材はこちら

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■アラル海の衛星画像を見た感想の紹介 

  • 形が変わっていっている。(幼稚園)
  • アラル海は世界で大きい湖だったけど、およそ40年前とくらべてすごく減っていることが分かった。自分はどうすればと考えようと思う。(小2)
  • アラル海が昔の10分の1になっていて、これから小さくなるのをとめる方法が知りたい。(小5)
  • アラル海が半世紀もしないうちに、10分の1以下になっていることに衝撃を受けた。消費について考えさせられる。(20-30代)

<観測を行っている衛星
しきさい(GCOM-C/SGLI)
打上げ年月日   2017年12月23日
宇宙から地球の環境変動を長期間にわたってグローバルに観測することを目的としています。大気や植生などに関わる観測を行っています。

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