地球を見る衛星(地球観測分野)
先進光学衛星
「だいち3号」(ALOS-3)
プライムメーカ:三菱電機株式会社
データ配布事業者:株式会社パスコ

ミッション

「だいち3号」
「だいち3号」は、陸域観測技術衛星「だいち」(2006~2011年)の光学ミッションを引き継ぐ地球観測衛星です。
三菱電機株式会社がプライムメーカーとして、設計・製造を担当しており、協力して開発を進めています。
「だいち」と比べ大型化・高性能化したセンサを搭載することにより、「だいち」の広い観測幅(直下70km)を維持しつつ、さらに高い地上分解能(直下0.8m)を実現します。
このセンサを用いて国内はもちろん、全地球規模の陸域を継続的に観測し、蓄積した平時の画像や災害発生時の画像を防災・災害対策等を含む広義の安全保障に活用します。
「だいち3号」の地上分解能では構築物の倒壊や道路遮断の状況が、「だいち」(地上分解能2.5m)に比べてより明確に視認でき、発災前後の画像の比較により、詳細な被害状況を迅速に抽出することが可能になります。
さらに、「だいち3号」の観測画像は国内や途上国の高精度な地理空間情報の整備・更新に貢献するほか、
多様な観測バンドによる沿岸域や植生域の環境モニタリング・土地被覆分類など、様々な分野での利用が期待されています。
「だいち3号」では、観測画像のユーザへの配布事業を株式会社パスコが担当します。衛星データの利用における民間事業者の知見を活かし、更なる利用拡大を目指します。
「だいち3号」のシミュレーション画像(筑波宇宙センター付近)
技術
「だいち3号」に搭載される光学センサは、「だいち」の広視野を維持しつつ、地上分解能を約3倍向上させています。
このように高分解能と広視野を両立させたセンサは世界に類をみず、「だいち3号」の大きな特徴の一つとなっています。センサ性能の実現にあたっては、これまでに日本が培ってきた大型光学系や高性能検出器の製造技術が最大限活用されています。
また「だいち」では白黒画像(分解能2.5m)を取得するセンサと、カラー画像(分解能10m、可視近赤外4バンド)を取得するセンサを個別に搭載していましたが、「だいち3号」ではこれらを統合し、
一つのセンサで白黒(分解能0.8m)とカラー画像(分解能3.2m、可視近赤外6バンド)を取得します。さらに両方の画像を合わせ、分解能0.8mのパンシャープン画像(※)を生成することも可能です。
※ 高解像度の白黒画像と低解像度のカラー画像から作成する高分解能化カラー画像
「だいち3号」は、平時1周回あたり最大10分間の連続撮像により、観測幅70km/直線距離4000kmに渡る広域の観測が可能です(「ストリップマップ観測モード」)。 また多様な姿勢制御により、地上のある地点を2方向から観測する「立体視観測モード」や、複数回のスキャンにより200km四方の広域を1回の通過で観測する「広域観測モード」、 衛星の進行方向とは異なる方向に視線を移動させ観測を行う「方向変更観測モード」など、各種観測モードを有しています。 また「だいち3号」は直下に対し全方位60°までのポインティング観測を行うことにより、日本国内の任意の地点を24時間以内に観測することが可能です。
仕様
「だいち3号」の仕様
項目 | 仕様 |
---|---|
ミッション機器 | 広域・高分解能センサ
衛星搭載型2波長赤外線センサ(防衛省ミッション) |
データ伝送 | 直接伝送(Ka帯:1.8Gbps以上 X帯:0.8Gbps以上) 光データ中継 |
サイズ | 5.0m×16.5m×3.6m (太陽電池パドル展開時) |
質量 | 約3トン |
設計寿命 | 7年 |
運用軌道 |
太陽同期準回帰軌道 高度669km 回帰日数 35日(サブサイクル※約3日) 降交点通過地方太陽時 10時30分±15分 |
打上げ年月日 | 2021年度(予定) |
打上げロケット | H3ロケット(予定) |
プライムメーカー | 三菱電機株式会社 |
データ配布事業者 | 株式会社パスコ |
※サブサイクル:ある直下軌道パスに対し、隣接するパスを衛星が通過するまでの日数