技術試験衛星9号機 画像

暮らしを支える人工衛星

開発中

技術試験衛星9号機

技術試験衛星9号機

プライムメーカ:
三菱電機株式会社

ニュース ロゴ画像最新情報

 

ミッション

近年、航空機・船舶向けサービスや、地域向けサービスを中心としたブロードバンド環境の世界的な普及拡大を背景に、商業通信衛星市場では競争が激化しており通信コストの低減が求められています。 産業競争力強化の観点から、「技術試験衛星9号機」は、市場ニーズを実現する通信技術と、それらの通信機器を搭載・運用できる衛星バス技術を実証し、 2020年代に国際競争力ある衛星システムを実現することを目的としています。三菱電機株式会社がプライムメーカーとして、設計・製造を担当しており、協力して開発を進めています。

技術試験衛星9号機

技術試験衛星9号機

「技術試験衛星9号機」で実証する衛星バス技術は、搭載している通信機器への供給電力を増大させると共に、それに伴い機器から発生する大量の熱を排出することを可能にします。 さらに、打上げから運用を終了するまでのライフサイクル全体に要するコストを抑えるために、全電化衛星技術などにより衛星打ち上げ質量における推進剤の割合を削減し、リーズナブルな価格のロケットによる打ち上げを可能にします。 また、衛星運用に係るコストを削減するため静止GPS受信機を用いて自律的な軌道制御を行います。
「技術試験衛星9号機」で実証する通信技術については、総務省・NICTがフレキシブル化技術及び大容量化技術(光通信技術の実証・Ka帯マルチビーム給電部)を担当し、文科省・JAXAがフルデジタル化技術を担当します。

技術

「技術試験衛星9号機」の衛星バスは、通信機器の搭載能力の増強や打ち上げから運用を終了するまでに要するコストの抑制など、通信コストを削減するための下記のような技術を実証します。
こうした新たな技術を用いて標準バスを構築することで衛星製造期間の短縮と低コスト化に寄与するとともに、商業通信衛星市場の要求や期待に応える実績を作り上げます。

全電化衛星技術

全電化衛星とは、イオンエンジンやホールスラスタなどの電気推進系を搭載した衛星のことで、ロケット分離後の静止軌道投入、姿勢軌道制御に化学推進系ではなく、電気推進系を使用します。
従来の化学推進系を搭載した衛星では、衛星の質量の中で、推薬量が最も大きな割合を占めているため、これを軽減しその分を通信ペイロードに割り当てれば、多数の通信機器を搭載できるようになります。電気推進系は、化学推進系に比べ比推力が大きいため、推薬の質量を大幅に低減することが可能です。 一方、全電化衛星は静止軌道投入までの軌道遷移期間が長期化し、サービスインが遅くなるという課題があります。大推力の電気推進系は軌道遷移期間の長期化を短縮するため、競争力強化を図るうえで非常に有効です。
「技術試験衛星9号機」では、大型衛星の静止軌道投入に使用できる大推力ホールスラスタを開発し、軌道上実証することで、競争力のある全電化衛星システムを目指します。

ホールスラスタ

静止GPS受信機を用いた自律軌道制御

衛星運用においては、軌道決定作業や軌道制御計画の立案作業を定常的に行う必要があります。
「技術試験衛星9号機」では、静止GPS受信機により得られる軌道情報を利用して、軌道制御を自律的に実施します。 これにより、運用負荷を低減し運用コストを抑制できると共に、人為的ミスの発生する機会を減らすことにより運用品質の向上にも寄与します。

大電力化/高排熱技術

商用通信衛星は、通信コスト低減のため多数の通信機器を搭載し、衛星1機あたりの通信容量を増大させる傾向です。それに伴い機器の搭載数が増加するため、消費電力も増大します。 また、通信ニーズの時間的または地理的な変化に応じて、周波数やビームエリアを変更することができるフレキシブルなシステムの導入も始まっています。
そのため「技術試験衛星9号機」では、2020年代に求められる発生電力25kW以上の大電力化を図るとともに、太陽電池パドルの軽量化、電源系の軽量化・高効率化、熱制御系の高排熱化等の技術実証を行います。
高排熱のためのループヒートパイプは、「こうのとり7号機」により国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」へ輸送して、軌道上で事前試験を行いました。 この試験は、「きぼう」のエアロックから船外に運び出したループヒートパイプを「きぼう」のロボットアームで把持し、微小重力環境かつ真空環境の状態で約1ヶ月間にわたり行いました。

フルデジタル通信ペイロード

従来型のペイロードでは、想定される通信需要に対して打上げ前にハードウェアでビーム構成を決める必要があり、打上げ後に実際の需要が異なっていたとしても変更することはできませんでした。
フルデジタル通信ペイロードでは、デジタル化により、軌道上での柔軟な機器の設定変更等が可能となり、ビーム照射地域や通信容量(周波数帯域幅)等の柔軟な機能変更が可能となるため、サービス形態を変更可能にすることで、通信のフレキシビリティを向上させ、競争力を獲得することができます。

【参考】文部科学省宇宙開発利用部会(第61回)技術試験衛星9号機(ETS-9)の開発状況ついて(2021.6.28資料)
【参考】研究紹介/LHPラジエータ軌道上実証実験
【参考】国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」での軌道上実証実験

仕様

「技術試験衛星9号機」の仕様

項目 仕様
運用期間(設計寿命) 静止化後15年
質量 約4.9トン
軌道 静止軌道 約36,000km
発生電力 25kW以上、供給電力20kW以上
打上げ年月日 2025年度(予定)
打上げロケット H3ロケット(予定)
プライムメーカー 三菱電機株式会社

関連情報

インタビュー

ペーパークラフト

ニュース ロゴ画像最新情報

地球を見守る人工衛星

陸地、海洋、大気の状態を観測するための地球観測衛星です。災害や気候変動に対応するために、宇宙から私たちの地球を見守っています。

暮らしを支える人工衛星

通信を行ったり、測位(自分の位置を知る)を行ったりするための人工衛星です。新しい技術開発をするための人工衛星も作っています。

衛星プロジェクト ストーリー

人工衛星への熱き想い!

人工衛星は機械ですが、人工衛星を研究開発して運用するために、JAXAの宇宙開発の現場ではプロジェクトチームとして多くの人が協力して働いています。ここでは衛星プロジェクトを支えるストーリーを紹介します。ミッション遂行に向けた熱い想い、大変な話、感動する話、面白エピソード、普段聞けない裏話などなど。

衛星プロジェクト ストーリー イメージ画像
サテナビ

ってだれが運営しているの?

地球観測利用 イメージ画像1
地球観測利用 イメージ画像2

サテライトナビゲーター(サテナビ)は、暮らしを支える人工衛星の開発・運用をしているJAXA第一宇宙技術部門が運営しています。JAXA第一宇宙技術部門の詳細についてはこちらへ。

JAXA 第一宇宙技術部門について

最新情報を受け取ろう

公式ソーシャルアカウント