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2026.04.02(木)

JAXAとNTTによる衛星画像とAI技術を組み合わせた藻場観測

藻場とは、アマモ等の海草やコンブ・ワカメ等の海藻が茂る場所です。藻場は、海洋生物の産卵・生育の場となるほか、栄養塩の吸収や酸素供給などを通じて沿岸環境を支えており、海洋生態系において重要な役割を持っています。近年は、藻場が光合成で炭素を取り込み、海中に貯留する機能にも注目が集まっています。このように海の生態系が吸収・貯蔵する炭素のことを「ブルーカーボン」と呼びます。

図1. 藻場のイメージ(ホンダワラ類)

藻場は宇宙からも観測することができます。例えば、2011年まで運用していたJAXAの「だいち」(ALOS)に搭載された高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)等の光学衛星画像は、広い範囲を繰り返し観測できるため、藻場の分布やその変化のモニタリングに活用されてきました。現在もESAのSentinel-2や商用の光学衛星等が利用されていますが、雲や海の濁り、海中での光の減衰などの影響を受けるため、精密な解析には工夫が必要で、複雑な処理や高度な専門知識を持った技術者による目視判読が必要になります。

図2. 「だいち」AVNIR-2の観測画像例(能登島の東側などで藻場が見られる)

そこでJAXAとNTTは、衛星画像とAI技術を組み合わせ、藻場モニタリングの作業負担を減らす研究に取り組んでいます。これまで目視で行われていた藻場の判読技術を画像解析AIに学習させることで、複雑な処理や高度な専門知識を必要とせずに、藻場を自動的かつ時系列的に推定できるようになりました。今後、AI推定の妥当性を検証するとともに、現場で使いやすいものへと磨き上げて行きます。JAXAとNTTはこのような研究成果によって、地方自治体等による藻場の保全や再生、脱炭素社会に向けたブルーカーボン活用等に貢献してゆきたいと考えています。

図3. Sentinel-2の可視画像(静岡県御前崎周辺、2019年撮像)に、AIが推定した藻場分布範囲(橙)を重ねた例
(NTT作成、衛星画像に基づく推定結果であり現地調査結果等とは一部乖離がある可能性があります)。

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