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地球を見る衛星(地球観測分野)

温室効果ガス観測技術衛星
「いぶき」(GOSAT)

ミッション

宇宙から、世界中の温室効果ガスを均一に観測

画像:「いぶき」

「いぶき」は、JAXAと環境省、国立環境研究所が、共同プロジェクトで開発した人工衛星で、地球温暖化の原因と言われている二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスを宇宙から測定します。これにより、地球温暖化や気候変動の科学的な理解を深めて、温暖化対策に貢献することを目的にしています。

温室効果ガスの観測は、地上に機械を置いて観測したり航空機から観測したりもしていますが、観測地点の数が少なく地域も限られてしまいます。また、観測センサの種類や性能にばらつきがあり、観測データを比較するのが困難です。「いぶき」は宇宙から、地球のほぼ全域にわたって、ひとつのセンサで温室効果ガスを測定するので、正確にしかも均一にデータを取得できます。

「いぶき」が観測した二酸化炭素濃度(抜粋)

「いぶき」が2010 年から2014 年にかけて宇宙から観測した全球の二酸化炭素濃度です。
濃度が低いほど青色に、高いほど赤色になっています。同じ月でも、年が経過するごとに濃度が高くなっていることが顕著に分かります。

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正確な温室効果ガスの測定に役立つ

画像:正確な温室効果ガスの測定に役立つ

高精度なセンサと約5万6000点の観測ポイントを誇る「いぶき」によって、これまでよくわからなかった温室効果ガスの詳細なデータを正確に観測することができます。排出だけでなく移動、吸収など、様々な要因が絡む温室効果ガスの濃度分布を正確に観測する方法を確立することで、急務とされている地球温暖化防止対策を確実に一歩進めることができます。「いぶき」プロジェクトは地球全体の未来に関わる重要なミッションなのです。

京都議定書のための『共通のものさし』として役立つ

地球温暖化防止のための国際的な取り決めである京都議定書ですが、ひとつ大きな問題があります。それは現在、温室効果ガスを正確に測定する共通の手段がないということ。「いぶき」は世界で初めての、温室効果ガスの『共通のものさし』になった人工衛星です。優れた性能で、二酸化炭素濃度の分布を正確に観測することができるので、得られたデータをそれぞれの国がベースとして利用すれば、目標値を達成しているかどうか公平に判断することができるのです。

データを無償配布し、国際貢献に役立つ

「いぶき」の運用が始まれば、地球上の数万地点という多くの観測ポイントから、三日ごとに最新のデータを入手できるようになります。これらのデータは、日本の気象庁が運営する温室効果ガス世界資料センターという組織を通じて、あるいは直接世界の科学者たちに向けて無償で配布する予定です。資金や人員だけでなく、情報も提供するという新しい形の国際貢献として、「いぶき」は大いに役立ちます。

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「いぶき」の形状や搭載パーツについて

画像:「いぶき」の形状や搭載パーツについて

温室効果ガス観測センサ(TANSO-FTS)

画像:温室効果ガス観測センサ(TANSO-FTS)

大気中の二酸化炭素の量を高精度に計測するセンサです。

雲・エアロゾルセンサ(TANSO-CAI)

画像:雲・エアロゾルセンサ(TANSO-CAI)

二酸化炭素を測定する際に誤差の要因になる雲の有無の判定や、エアロゾル(大気中の小さな粒)の測定のために使われます。光学センサなので、人が見た色に近いカラー画像を取得することができます。

太陽電池パドル

軌道上において太陽光を電池エネルギーに変換し、衛星に必要となる電力を供給します。

技術

観測点はなんと56,000点!観測範囲がスゴイ!

「いぶき」は地球の周りを高度660kmという軌道で周っています。これは東京から兵庫県相生間の距離をそのまま縦にした距離とほぼ同じです。約100分で地球を一周しながら、ひとつのセンサで地球表面のほぼ全体にわたって温室効果ガスを測れるため、地上や航空機での観測に比べて圧倒的に数多くの地点のデータを取得することができます。その数、なんと5万6000点!このため世界各地の温室効果ガスの増減を高い精度で算出することができます。

画像:地上の観測点数と「いぶき」の観測点数

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このまま地球温暖化が進むと、洪水や海面上昇など、数世紀以内に大きな地球環境の変動が起こる可能性が高いと指摘されています。そのため、1997年京都で開かれた第3回気候変動枠組条約締約会議(COP3)では、2008年~2012年の5年間の平均で、「温室効果ガス」を1990年水準から6~8割削減することを義務付けています。更に、世界気象機関 (WMO) と国連環境計画 (UNEP) によって、各国が地上・海洋・宇宙での観測を一段と強化する「全球気候観測システム (GCOS: Global Climate Observation System)」が提案されており、「いぶき」はこの観測に貢献する目的を持った衛星です。

世界最高性能を実現!温室効果ガス観測センサ

画像:温室効果ガス観測センサ

660kmも離れた上空から地上のわずかな温室効果ガスの増減を観測するために、「いぶき」が搭載する温室効果ガス観測センサ(TANSO)は最新技術の結晶とも言える性能を実現しました。温室効果ガス専用の人工衛星を運用しているのは世界でも日本とアメリカの2国だけですが、「いぶき」のセンサは世界最高性能を誇っています。

画像:太陽スペクトルの例

「いぶき」は地球から宇宙へ放射される赤外線を宇宙で観測します。この赤外線を詳しく分析することにより、大気中の温室効果ガスの濃度を算出することができます。
太陽光をプリズムに通すと、光がスペクトル (虹色の帯) に分解されますが、ところどころスリット状に光が暗くなっている部分があります。これは、光がある物質を通過する際に、特定の色、すなわち特定の波長をもつ成分だけが吸収されるために起こる現象です。暗くなっている部分は「吸収線」と呼ばれ、その色(波長)は通過した物質の種類によって固有のものです。また吸収される量は通過した物質の量に比例します。同じ現象は、人間の目には見えない赤外線の領域でも起こり、温室効果ガスの吸収線は、赤外線の領域に数多くあります。
「いぶき」による観測では、太陽から出て地表面で反射した赤外線や、地球自体から放射される赤外線のスペクトルを観測し、大気中に温室効果ガスがどれだけ含まれているかを算出します。

画像:検出器

「いぶき」搭載センサは、赤外線をスペクトルに分解するために、「フーリエ分光計」という方式を採用しています。フーリエ分光計は精密で複雑な機構を必要とすることから、その開発には高い技術レベルが要求されますが、その他の分光方式 (プリズム、回折格子など) と比較してはるかに鮮明で精密なスペクトルが得られます。また「いぶき」の観測センサは、赤外線の広い波長範囲 (近赤外域~熱赤外域) にわたるスペクトルを観測し、より多くの吸収線を測定することにより、さらに観測精度を高めることを目指しています。

検出器では長さの異なる光路A、光路Bを通過した太陽光(赤外線)を同時に検出するが、可動ミラーの往復運動により、光路Aと光路Bの長さの差を変化させることで、「インターフェログラム」と呼ばれる信号が得られる。この信号に「逆フーリエ変換」という演算処理を施すと、太陽光(赤外線)のスペクトルが得られる。

「いぶき」は「死なない衛星」!設計思想がスゴイ!

画像:「いぶき」の設計思想

今までの人工衛星は「成功確率をあげる」という考え方で、部品はなるべく少なく、シンプルに設計・開発されてきましたが、ひとつのパーツの故障がミッション全体に大きく影響するという問題がありました。そこで、「いぶき」プロジェクトはその設計思想を革新的にシフトさせました。つまり、「失敗しない確率をあげる」こと。重要なパーツを二段構えで構成すれば、もし片方に何かあってもミッションの継続が可能です。従来の衛星とは一味違った設計思想によって生まれた「いぶき」は、死なないタフな衛星なのです。

「いぶき」の衛星バスや観測データ処理装置の設計に当たっては、これまでに既に軌道上に打上げられ、宇宙空間での機能・性能を実証済みのコンポーネント・部品を最大限活用することにより、高い信頼性を確保します。
また地球観測衛星の形態としては、従来は一機に多数の観測機器を搭載した大型衛星が主流でしたが、リスク低減の観点から、「いぶき」は温室効果ガスの観測に絞り込んだ単一ミッションの中型衛星とし、ミッションに最適化した衛星を短期間で開発することが可能となりました。「いぶき」ミッションで確立する中型衛星バスは、後続のミッションにも広く応用されることが期待されています。

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仕様

「いぶき」の仕様・打上げ

質量 (Mass) 約1750kg(打上げ時) (Approx.1750kg)
電力 (Power) 3.3kw - 寿命末期 (3.3kw - EOL)
設計寿命 (Designed Life Span) 5年 (5years)
軌道 (予定 / Orbit Plan) 高度666km (Altitude 666km)
太陽同期準回帰軌道 (Sun-Synchronous Sub-Recurrent Orbit)
軌道傾斜角 (Orbit Inclination) 98度 (98deg.)
打上げ年月日 2009年1月23日
打上げロケット H-IIAロケット15号機
本文ここまで。
画像:ロケットの情報を掲載 ロケットナビゲーター
画像:宇宙から見た地球を紹介 地球観測研究センター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
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