Columnコラム

2013
10.25

「命を育むプロジェクト」に携わっているという使命感

水は私たち人間だけでなく、全ての地球上の生命にとって欠かせないものです。そういう意味で、少し大げさな言い方かもしれませんが、GPM/DPR(ジーピーエム/ディーピーアール)は「命を育むプロジェクト」なのだと私は思っています。いわば地球に存在するありとあらゆる生命に関わるプロジェクトに携わっているという使命感を持って臨んでいます。

私はこのプロジェクトに関わる以前にも、TRMMをはじめとするさまざまな人工衛星プロジェクトに参加してきました。そこでの経験は全て現在の私の糧となる非常に貴重なものでしたが、中でも二度の打上げ失敗はとても大きな経験でした。数年かけて全身全霊で打ち込んできたプロジェクトが一瞬にして無になってしまう。もちろん非常に辛い経験でしたが、宇宙は常に新しいチャレンジの連続であるということの厳しさと、厳しさの中で最先端の技術に挑戦することの重要性を、改めて強く認識しました。

GPM/DPRプロジェクトの前身であるTRMMは成功を収め、現在も非常に良い成果を出し続けています。GPM/DPRプロジェクトには、TRMMで培った経験を活かしてさらに技術的な改善を加え、降水観測の新たな地平を切り拓くという非常に重要なミッションです。特にニ周波降水レーダは、TRMMで私が開発に携わった世界で初めての衛星搭載用降雨レーダを更に高精度にしたもので、日本の得意な技術を活かした高度な技術を盛り込んでいます。TRMMよりさらにスケールアップしたGPM/DPRプロジェクトで、これらの新しい技術が花開き、日本の存在感や役割を世界に示すことができるとともに、衛星から求まる降水データが天気予報や台風進路予測精度の向上、途上国での洪水予測など、世界の人々の暮らしに貢献することを目指しています。
JAXAにおけるプロジェクトの開始から10年という長丁場は山あり谷ありで、国際協力の難しさも痛感しました。それらをなんとか乗り越え、やっと打上げ目前のところまでたどりつきました。国民の期待に応えるべく、最後まで気を抜かずプロジェクトを進めていきます。

プロフィール

中学生の頃、アポロの月面着陸や、日本初の人工衛星「おおすみ」の数度の失敗を経た打ち上げ成功に感動。漠然とした憧れを持つ。
大学では数理工学を専攻。ビッグプロジェクトのダイナミズムに惹かれ、NASDA(現JAXA)へ入社。
TRMMやMTSATなどのプロジェクトを経て、GPM/DPRプロジェクトへ。

(GPM/DPRプロジェクトマネージャー  小嶋 正弘)

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